平成28年度事業報告

1.会議の開催

(1)総会の開催

日 時 会議名 主な議題
平成28年7月21日 第1回
  • ・平成27年度事業報告及び収支決算について
  • ・平成28年度事業計画(案)及び収支予算(案)について
  • ・第2期宇都宮市中心市街地活性化基本計画の進捗について

2.オープンカフェ事業の企画立案・社会実験の実施

第2期宇都宮市中心市街地活性化基本計画に計上され,新たな中心市街地活性化事業として,食や休憩所による新たな集客スポット「オープンカフェ事業」について,魅力ある都心創造部会で先進地の取り組み事例を参考に,プロジェクトを組織しながら器材の設置場所,設置器材,通行の安全対策等を検討し,10月には1か月間,社会実験を実施した。

(1)オープンカフェ事業「全国餃子サミット」オリオン通りでのミニ社会実験の実施

【目 的】

オープンカフェ事業において,設置を検討しているテーブルやイス等のガーデンセットのニーズを含めた利用状況や安全性を検証するため,試験的にガーデンセットを設置した。

【日 時】

平成28年5月21日(土)〜5月22日(日)
両日午前10時〜午後7時

【場 所】

オリオン通り

【設置ガーデンセット】

設置数11基


(2)オープンカフェ事業社会実験の検討事項

【出店場所について】

テーブル,イス,パラソルなどは店舗前に設置。
道路中央に,歩行者が安心して歩ける空間と緊急車両が通行できる通行路を確保することにした。

【設置器材について】
  • ・ユニット方式
    幾つかのテント,テーブル,イスなどの組み合わせ方式利用の検討。
  • ・パラソル方式

    「かまがわ川床桜まつり」や「全国餃子サミット」で,使用したパラソル,テーブル,イスなどのガーデンセットの利用検討。

    [サイズ]
    テーブル:W685×D685×H720
    イ ス :W425×D620×H910
    パラソル:W2480×D2480×H2260
    社会実験では,毎日の設営・撤去,収納方法,緊急時の移動などを検討し,パラソル方式で実施することにし,推進機構から出店者に器材を無償貸与することにした。
【通行の安全確保について】

オリオン通りの歩行者の安全確保のため,押しチャリ,降りチャリを推進し,自転車の通行人に協力をお願いすることにした。

  • 押しチャリチラシの作成配布
    ・作成部数:20,000枚
    ・配布先
    学校関係 宇都宮短期大学附属高校,宇都宮文星女子高等学校,栃木県立宇都宮女子高等学校,作新学院高校,文星芸術大学附属高校
    自治会 中央地区連合自治会,西地区連合自治会
    商店街 宇都宮オリオン通り商店街振興組合,オリオン通り曲師町商業協同組合
    実施期間中は通行人に配布
  • 交通誘導看板の設置
    ・設置看板:押しチャリ看板5基,迂回看板2基
    ・設置場所:オリオンアーケード内
  • 交通誘導員の配置 ・配置場所:オリオン通り東西入口等 3か所
    ・立哨員:宇都宮市シルバー人材センターに委託

3.中心市街地の低・未利用地に関する研究の実施

中心市街地に低未利用地や駐車場の実態を把握するため,現地を直接訪問確認しながら駐車場の調査を実施した。
【調査時期】
  • 平成28年6月 1か月間
【調査場所】
  • 宇都宮市中心市街地約320ha
【調査項目】
  • 駐車可能台数,駐車場の種類,駐車場の形態等
【調査委託先】

宇都宮共和大学
シティライフ学部
学部長・教授 山島哲夫 氏

【調査結果の概要】(抜粋)

駐車場の種類と駐車可能台数

  • 駐車場の種類 箇所数(*1) 同比率 駐車可能台数 同比率 平均台数
    時間貸し
    (コインパーキング)
    316(319) 24.8% 7,255 33.4% 22.96
    月極め駐車場 809(825) 63.6% 9,575 44.1% 11.84
    施設の附帯駐車場 72(82) 5.7% 3,556 16.4% 49.39
    企業等の契約駐車場 66(67) 5.2% 999 4.6% 15.14
    (*2) 9(15) 0.7% 337 1.6% 37.44
    合 計 1,272(1,308) 21,722 17.08

*1:箇所数のカッコ書きは台数が確認でない駐車場を含む全数ある。
*2:月極めの一部に時間貸しがあるなど2種類複合しているもの及びレンタカー置場。
レンタカー置場は通常の駐車場と違い車が密着して駐車するようになっているため駐車可能台数の把握が難しい。

  • 駐車場種類別駐車可能台数


【まとめ】

宇都宮の中心市街地と位置づけられている約320haのエリアには,非常に多くの駐車場が存在している(駐車可能台数は,台数が判明しているものだけで,約2万2,000台に達している)。しかも,駐車場の箇所数は増加傾向にある。また,中心市街地と言っても,エリアによって,駐車場の特徴は大きく異なっており,駐車場に対する対応はエリアごとに考える必要がある。

  • ・駐車場の箇所数としては,月極め駐車場が最も多く,約64%を占めている。しかし,駐車可能台数としては全体の44%にとどまっている。
  • ・時間貸し駐車場(コインパーキング)は,箇所数としては全体の4分の1であるが,駐車可能台数は,全体の3分の1を占めている。
  • ・駐車場の形態は,平面式のものが90%以上を占めるが,一か所あたりの駐車可能台数は,自走式立体駐車場が最も多く,箇所数で全体の2.9%にとどまる自走式立体駐車場が,台数では全体の19.5%を占めている。
  • ・駐車場の種類と形態については,エリアにより大きな相違がある。時間貸し駐車場は,鉄道駅周辺など比較的便利な場所に集中しているのに対し,月極め駐車場は,住宅地の中にも数多く存在している。
  • ・宇都宮市の中心部には,駐車場の面積が街区面積の4割近くに達する地域などがあり,中心部の駐車場面積は非常に大きい。
  • ・時間貸し駐車場の料金体系は,エリアにより異なり,夜間に営業する飲食店などが多いエリアでは,時間当たりの夜間の駐車料金が昼間に比べて3倍以上のところもある。

宇都宮市は,中心市街地に数多くの駐車場があり,中心市街地としての魅力が少ない要因の一つになっている。中心市街地の駐車場は,現在も増加傾向にあり,これ以上駐車場が増加していくことになれば,中心市街地としての賑わいが更に失われてしまう恐れがある。まちなかに駐車場が多数つくられる理由は,まちなかに来るのに自動車に頼らざるを得ない現状がある。まちなかに人を呼び込もうとすれば,そのための駐車場が必要になり,駐車場が増えれば駐車場ばかりのまちになり,まち自体の魅力が失われていく(結果的に,まちに来る人も減ってしまい,最後は駐車場も不要になる)。まちの魅力を保ち,これ以上,駐車場化を進めないようにするためには,LRTをはじめとした公共交通機関の充実により,自動車のみに頼らないで済むまちづくりを進めていく必要がある。
宇都宮市の中心市街地では,空き家や空き地になった場合に駐車場へと土地利用転換が進んでいる。特に中心部では,新たに整備された駐車場も需要があり,現時点では,駐車場として機能しているものが多い。一方,多くの地方都市では,中心市街地においても,空き地や空き家が、使い道がなくそのまま放置されている状況も見受けられる。
こうした地域と比べれば,駐車場としてではあるが利用価値があるということで,まだ,中心市街地活性化の可能性が残っていると考えることも出来る。中心市街地にこうした需要がある程度存在している間に,LRTなどの公共交通の整備充実が進めば,現在駐車場として使用されている土地についても,駐車場以外の利用が進むことも期待できる。